
原状回復は「借りた当時の状態に戻すこと」ではありません。だから「どこまでやるか」は決まりごとではなく、次の入居を決めるためのオーナー様の判断になります。退去の連絡が来てから、クロスは全面か一部か、床まで替えるか、設備はどうするかを短時間で決めることになります。判断の物差しがないと、やりすぎて費用が膨らむか、足りなくて内見で決まらないかのどちらかに振れます。私たちはクロス張替えを原点に、福岡市・糸島市で退去後の原状回復をお手伝いしています。この記事では、国が示している原状回復の定義を出発点に、直す範囲をどう決めるか、費用の目安、そして原状回復に一手を足す判断を、オーナー様・管理会社様の立場で整理します。
THIS ARTICLE — この記事の要点
- 国は原状回復を「借りた当時の状態に戻すものではない」と定義している
- 建物価値の減少は経年変化・通常損耗・故意過失の3つに分かれ、扱いが違う
- 「どこまでやるか」は募集家賃とエリアの需要とのバランスで決まる
- 費用の目安はワンルームのクロス張替え4万円から9万円、1LDKの内装一式8万円から18万円
- 現地調査と見積もりは無料。見た結果「ここは今回いらない」とお伝えすることもある
DEFINE原状回復は「元に戻すこと」ではありません
まず出発点をはっきりさせます。原状回復という言葉から「入居前とまったく同じ状態に戻す」と受け取られることがありますが、国が示している定義は違います。
国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すものではない」と明記され、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」と定義しています(ガイドライン5ページ・2026年9月14日確認)。
つまり、時間の経過や普通の暮らし方で生じた傷みまで元通りにする義務は、借りた側にはありません。ここを押さえると「どこまでやるか」の性質が変わります。義務として戻す範囲と、次の入居を決めるためにオーナー様が投資する範囲は、別の話だということです。
LAYER直す範囲は、3つの層に分けて考えます
ガイドラインでは、建物価値の減少を3つに分けています。経年変化(建物・設備の自然な劣化)、通常損耗(普通に住んで生じる損耗)、そして故意・過失や善管注意義務違反による損耗です(ガイドライン12ページ・2026年9月14日確認)。
この分け方を、オーナー様の判断に置き換えると次のようになります。
第1層は、次の入居者が住むために必要な回復です。汚れや傷が目立つクロス、においが残る部分、動かない設備。ここは範囲の大小はあっても、やらない選択肢がありません。
第2層は、印象を左右する部分です。内見で最初に目に入る玄関からリビングの壁、明るさ、床の見え方。ここを削ると費用は下がりますが、内見での決まり方に響きます。
第3層は、競合と差をつける一手です。1面だけアクセントクロスにする、床をヘリンボーン調にするなど。必須ではありませんが、同じ家賃帯の部屋が並ぶエリアでは効きます。
私たちは現地で、この3層のどこまでやるかを一緒に決めています。原状回復・空室対策リフォームのページにも書いていますが、どこまで手を入れるかは募集家賃やエリアの需要とのバランスで決まります。
- 内見で最初に目に入る面の状態を確認した
- においや水回りの汚れなど、写真に写らない部分を確認した
- 募集家賃と、同じ家賃帯の競合の部屋の状態を把握している
- 空室期間をどこまで許容できるか決めている
- 今回はやらない範囲を決めた(次回に回す判断もしている)
DECIDE「やりすぎ」と「足りない」を分ける基準
判断に迷ったときの見方を3つお伝えします。
1つめ、かけた費用を家賃で何か月で回収できるか。たとえば内装に手を入れて募集家賃を維持できるなら、下げた場合との差額で回収期間を計算できます。ここが読めると、やる・やらないが数字で決まります。
2つめ、空室が1か月延びたときの損失と比べる。費用を削って内見で決まらず1か月空くより、少し足して早く決まるほうが結果的に得になることがあります。家賃を下げずに決める考え方は空室対策リフォーム|家賃を下げずに決まる部屋にするにまとめています。
3つめ、次の退去まで持つかどうか。今回安く済ませて2年後にまた同じ場所を直すなら、今回まとめたほうが手間も費用も小さくなります。
私たちは、見た結果「ここは今回いらないと思います」とお伝えすることもあります。全部やることが正解ではありません。
COST費用の目安
判断の材料として、当社の料金ページに掲載している目安を挙げます。
賃貸ワンルームのクロス張替えは4万円から9万円が目安で、工期は1日程度です。1LDKの内装一式は8万円から18万円が目安で、工期は2日から3日です。トイレの壁と天井のクロスは3万円から6万円、洗面台交換は10万円から30万円が目安です。
幅があるのは、傷みの程度と広さで変わるからです。前の入居者の使い方によって下地の状態が違うので、退去後の状態を見てから戸ごとに内訳をお出しします。「一式いくら」でまとめることはしません。管理会社様からオーナー様へ説明するときに、根拠が示せる形にしておくためです。
ほかの工事の目安は料金の目安のページ、見積書の見方はリフォームの見積書、どこを見る?をご覧ください。複数戸をまとめる場合の段取りはアパート一棟の原状回復に書いています。
| 工事内容 | 費用の目安 | 工期の目安 |
|---|---|---|
| ワンルーム クロス張替え | 4万円〜9万円 | 1日程度 |
| 1LDK 内装一式 | 8万円〜18万円 | 2〜3日 |
| トイレ(壁・天井)クロス | 3万円〜6万円 | 半日〜1日 |
| 洗面台交換 | 10万円〜30万円 | 半日〜1日 |
| アクセントクロス(1面) | 2万円〜5万円 | 半日程度 |
PLUS原状回復に一手を足して、決まる部屋にした例
第3層の「一手」がどういうものか、実際の例でお伝えします。
ワンルーム全面改装は、福岡市のビル内ワンルームを、退去後に内装から洗面まで一括で改装した例です。傷んだ床をヘリンボーン調に張り替え、壁の内装・洗面台・トイレ・収納造作まで一新しました。募集時の写真の写り方が変わります。
築古の1Kをヘリンボーン床のデザイナーズへは、春日市の賃貸1Kをフルリノベーションした例です。ヘリンボーン床と黒鉄フレームのロフト、タイル壁のキッチンで、築古の住戸をカフェのような佇まいに仕上げました。
どちらも原状回復の範囲を超えた投資です。全ての部屋でここまでやる必要はありません。ただ、同じ家賃帯の部屋が並ぶエリアで長く空いている部屋には、こうした一手が効くことがあります。判断の材料として、現地で一緒に考えます。
BEFORE / AFTER範囲を決める前と後で、何が変わるか
決める前は、こういう状態です。退去の連絡が来てから慌てて業者に見積もりを頼み、出てきた金額が高いのか安いのかも分からないまま判断する。削れば内見で決まらないかもしれず、やれば費用が膨らむ。毎回この迷いを繰り返します。
3つの層で整理すると、こう変わります。やらない選択肢がない範囲と、印象を左右する範囲と、差をつける一手が分かれます。費用を削るならどこからかが決まります。空室期間との比較で、投資かどうかを数字で判断できます。
この差を生んでいるのは、原状回復を「義務として戻すもの」と「次の入居のための投資」に分けて考えたかどうかです。現地調査と見積もりは無料で、戸ごとに内訳をお出しします。流れは現地調査は無料?有料?をご覧ください。
FAQよくあるご質問
原状回復の費用は、入居者とオーナーのどちらが負担しますか。
クロスは全面張替えと一部張替え、どちらがいいですか。
クリーニングも一緒に頼めますか。
退去後すぐに来てもらえますか。
写真を送れば、どこまでやるべきか相談できますか。
福岡市・糸島市のどこまで来てもらえますか。
CONCLUSIONまとめ
原状回復は、借りた当時の状態に戻すことではありません。国のガイドラインがそう定義しています。だから「どこまでやるか」は決まりごとではなく、次の入居を決めるためのオーナー様の判断になります。
やらない選択肢がない範囲、印象を左右する範囲、差をつける一手。この3層で整理すると、削る順番と足す価値が見えます。空室が1か月延びたときの損失と比べれば、投資かどうかは数字で判断できます。
現地調査と見積もりは無料で、戸ごとに内訳をお出しします。見た結果「今回はここまでで十分です」とお伝えすることもあります。お電話は092-334-2211、フォームからのご相談もお受けしています。
※費用は目安のレンジです。正確な金額は無料の現地調査でお出しします。糸島市・福岡市を中心に対応しています。

