
賃貸の原状回復費用が妥当かどうかは、総額ではなく、見積書に数量・単価・工事範囲が書かれているかで確かめられます。退去の手配を管理会社にお願いすること自体は、賃貸経営では普通の形です。ただ、手元に届く書類が「原状回復工事一式」の一行だけだと、オーナー様の側に判断する材料が残りません。私たちは2010年にクロス職人として始めた内装会社で、糸島市と福岡市で賃貸の原状回復をお引き受けしています。退去のたびに届く見積書のどの欄を見れば中身が分かるのかを、実際にお出ししている書式の考え方とあわせて整理します。
THIS ARTICLE — この記事の要点
- 妥当かどうかは総額では分かりません。数量(㎡・台数・箇所)・単価・工事範囲の3つが並んでいるかが出発点です
- 「一式」だけの見積書は、次の退去のときに比べることができません。同じ部屋の履歴が積み上がらないためです
- 同じ部屋で毎回同じ項目が出ていないか。前回替えた場所がまた出ているなら、理由を聞ける状態にしておきます
- ハウスクリーニングで落ちる汚れかどうかを先に見ます。落ちない汚れ・割れ・欠けが出て、初めて交換を考えます
- 賃貸ワンルームの原状回復は4万円から9万円が目安です。現地調査と見積もりは無料で、見た結果「ここはまだ替えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります
PAPER任せること自体は普通です。見えないまま続くと判断ができません
賃貸経営では、退去の連絡から鍵の受け取り、原状回復の手配までを管理会社にお願いしている方がほとんどです。入居者とのやり取りまで含めて任せられるので、持っている戸数が増えるほど現実的な形になります。
引っかかりやすいのは、任せていること自体ではなく、オーナー様の手元に残るのが金額の書かれた一枚だけ、という状態が続くことです。工事の中身が「原状回復工事一式」とだけ書かれていると、高いのか妥当なのかを考える手がかりがありません。分からないまま承認する月が重なると、次の退去でも同じことが起きます。
見積書は、金額より先に書かれ方を見ます
同じ金額でも、内訳が7行ある見積書と一行の見積書では、読み取れることがまったく違います。前者は「どの部屋の、どの範囲を、どれだけ」が分かるので、次に似た部屋の退去が出たときに照らし合わせられます。後者は比べる手がかりが残りません。
書かれ方を見るのは、管理会社や工事会社を疑うためではありません。数量と単価が書類に残っていれば、オーナー様も管理会社も同じものを見ながら話ができます。あとから「あのときはどこまでやりましたか」と聞ける状態をつくる、という意味です。
私たちがオーナー様にお出ししている書式
私たちは部屋ごと・部位ごとに行を分けてお出ししています。クロスなら施工する面積と1㎡あたりの単価、設備なら品名と台数です。行が分かれていると、オーナー様の側で「ここは今回やらない」と選べるようになります。
複数戸や連棟をまとめてお引き受けするときも、戸ごとに積み上げた内訳をお出ししています。まとめ方の考え方はアパート一棟の原状回復|複数戸まとめて頼むと空室はどう変わる?に書いています。
LINES数量・単価・工事範囲。この3つが並んでいるか
見積書で最初に探していただきたいのは、金額ではなく数量です。クロスなら何㎡、設備なら何台・何か所。数量が書かれていれば単価を割り出せますし、部屋の広さと照らして多すぎないかの見当もつきます。
次が単価、その次が工事範囲です。工事範囲は「どの部屋の、どこまで」を指します。洋室の壁だけなのか、天井も含むのか、廊下まで続けて張り替えるのか。ここが抜けていると、同じ「クロス張替え」という行でも金額が倍ほど違ってきます。
「一式」の行が多いほど、比べる材料が減ります
「一式」という書き方そのものが悪いわけではありません。細かい部材をまとめたほうが読みやすい場面もあります。見ていただきたいのは、総額に占める「一式」の割合です。半分以上が一式なら、その中身を一度聞いておくと、次の退去から話が早くなります。
聞き方は難しく考えなくて構いません。「この一式には、どの部屋のどの範囲が入っていますか」の一言で足ります。書類そのものの読み方はリフォームの見積書、どこを見る?損しない7つのチェックにも整理しています。
クロスは面積で積み上がるので、確かめやすい部位です
クロスの張替えは1㎡あたり900円から1,500円が目安です。面積で積み上がるため、数量さえ書かれていれば金額の見当がつきます。6畳の一室のクロス張替えなら5万円から9万円が目安です。
賃貸ワンルームの原状回復は4万円から9万円が目安になります。1LDKの内装一式なら8万円から18万円です。部屋の広さと内訳の数量が噛み合っているかを見ると、総額の高安が見えてきます。レンジは料金の目安のページにまとめています。
- 数量が入っているか(クロスの㎡数、設備の台数、箇所数)
- 単価が入っているか(1㎡あたり、1か所あたり)
- 工事範囲が部屋ごとに分かれているか(壁だけか、天井・床も含むか)
- 「一式」の行が、総額の何割を占めているか
- ハウスクリーニングと内装工事が、別の行に分かれているか
- 下地の処理と、廃材の処分がどの行に入っているか
- 前回の退去で替えた場所が、また出ていないか
「うちの場合はどうなる?」と思ったら、見に行きます。お住まいの地区と、だいたいの築年数だけ教えてください。
現地調査・お見積もりは無料です。お見積もりのあとに契約する義務はありません。見た結果「まだ替えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。
REPEAT同じ部屋で、毎回同じ項目が出ていませんか
オーナー様だけが持っている材料があります。同じ部屋の、過去の見積書です。退去のたびに届く書類を部屋番号ごとに並べると、前回替えた場所がまた出ていないかが分かります。管理会社でも工事会社でも、所有者ほどこの履歴はたどれません。
クロスは入居者が替わるたびに張り替えることの多い部位ですが、床材や設備は毎回替えるものではありません。2年前に入れた洗面台が、また交換の行に入っている。こうしたことは、書類を並べて初めて見つかります。
部屋ごとのファイルが、いちばん強い材料になります
難しい仕組みは要りません。部屋番号ごとに見積書をまとめておくだけで、次の退去のときに「前回はここまでやっています」と言えます。工事会社の側も、前回の範囲が分かっていれば重なる部分を外して出せます。
私たちも、一度うかがった部屋は施工した範囲を控えています。次に同じ部屋のご相談をいただいたときに、前回触っていない場所から見るためです。
替えずに済むかどうかを、先に見ます
汚れが目立つから交換、と決める前に、ハウスクリーニングで落ちる汚れかどうかを見ます。落ちない汚れ、割れ、欠けが出てきて、初めて交換を考える順番です。浴室や洗面は、クリーニングとパッキン・部材の補修で収まることもあります。
設備にお金をかける順番は入居が決まる部屋の水回り|オーナーが先に直すべき場所に、直す範囲そのものの決め方は退去後の原状回復はどこまで?次の入居が決まる範囲の決め方に書いています。
RULE貸主と借主の負担を分ける、拠り所になる考え方
見積書の行が貸主と借主のどちらの負担になるのかは、オーナー様にとって金額と同じくらい大事なところです。判断の拠り所として、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開しています(国土交通省・「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について/2026年10月14日確認)。
ここでは、経年変化や通常の使用で生じた損耗の修繕費用は賃料に含まれるものとされ、原状回復は借りた当時の状態に戻すことではない、という考え方が示されています。通常損耗・経年変化の扱いは貸主負担が原則、という整理までは共通の土台として使えます。
それでも、割合は契約と部屋の状態で決まります
ガイドラインは、賃貸借契約を結ぶときに参考にするものとして示されています。すでに結ばれている契約については、契約の内容に沿った取扱いが原則とされています。どの行を何割ずつ負担するかは、ここで一律に決められるものではありません。最終的には契約書の条文と、実際の部屋の状態で判断することになります。
私たちは工事をする側で、負担割合を決める立場にはありません。できるのは、どこがどう傷んでいるのかを現地で見て、範囲と数量を分けて書くことです。分かれて書かれていれば、入居者との話をするときの材料になります。
施工の単位も、見積書の行に表れます
ガイドラインでは、原状回復は毀損した部分の復旧であり、補修はできるだけ最低限の施工単位を基本とする、という考え方も示されています。壁の一面だけ傷んでいるのに部屋全体が張替えの対象になっているときは、色や柄を合わせる必要があるのかを含めて、理由を聞いておくところです。
費用そのものの考え方は賃貸の原状回復費用|オーナーが損しない相場の考え方にまとめています。あわせてご覧ください。
COST部位ごとの目安を持っておくと、行ごとの高安が見えます
見積書の行ごとに「だいたいこのくらい」という幅を持っていると、極端に外れた行に気づけます。下の表は、私たちが料金ページに載せている目安です。実際の金額は部屋の状態と範囲で動きますが、読むときの出発点にはなります。
たとえばトイレの交換は15万円から35万円が目安です。洗面台の交換は10万円から30万円が目安になります。設備は品名と台数さえ書かれていれば、金額の根拠をたどりやすい部分です。
| 部位・範囲 | 費用の目安 | 見積書で合わせて見るところ |
|---|---|---|
| 賃貸ワンルームの原状回復(内装一式) | 4万円〜9万円 | 部屋ごと・部位ごとに行が分かれているか |
| 1LDKの内装一式 | 8万円〜18万円 | どの部屋まで含むかが書かれているか |
| クロス張替え(6畳の一室) | 5万円〜9万円 | 施工面積(㎡)と単価が入っているか |
| クロス(1㎡あたりの目安) | 900円〜1,500円 | 数量×単価が総額と噛み合っているか |
| トイレの交換 | 15万円〜35万円 | 品名・台数と、内装を含むかどうか |
| 洗面台の交換 | 10万円〜30万円 | 既存の撤去と処分がどの行にあるか |
| ハウスクリーニング | 現地調査でお出しします | 内装工事と行が分かれているか |
ここまでが、お住まいによって変わる部分です。どれが当てはまるかは、実際に見れば分かります。
現地調査・お見積もりは無料です。お見積もりのあとに契約する義務はありません。見た結果「まだ替えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。
LOCAL糸島市・福岡市の賃貸で、金額が動きやすいところ
私たちの事務所は糸島市前原東にあり、糸島市全域と福岡市の7区にうかがっています。西区・早良区は特に近い地域です。海に近い物件が多く、潮風と湿気が内装に出やすい土地柄があります。
出やすいのは、壁紙の継ぎ目の浮き、めくれ、北側の部屋や押し入れの黒ずみです。これらは表面を張り替えるだけで収まる場合と、下地の処理が要る場合に分かれます。同じ「クロス張替え」の行でも金額に差が出るのは、この工程が入るかどうかが効いているためです。対応している地域は糸島市の対応エリアに載せています。
書類だけでは分からないのは、下地とにおいです
数量と単価が揃っていても、紙の上では分からないことがあります。クロスをめくるまで見えない下地の傷みと、部屋に残るにおいです。どちらも現地で確かめるしかなく、オーナー様が遠方にお住まいの場合ほど差が出ます。
私たちは見たうえで、「ここはまだ替えなくて大丈夫です」とお伝えすることもあります。替える前提でうかがうわけではないので、今回やる場所と次の退去まで様子を見る場所を分けてお出しします。空室が続いている部屋なら空室対策リフォーム|家賃を下げずに決まる部屋にするもあわせてご覧ください。
相見積もりは、比べ方を決めてから取ります
金額が妥当か確かめる方法として、ほかの会社にも見積もりを出してもらう選び方があります。このとき、同じ範囲・同じ数量で出してもらわないと、安いほうが得なのかは分かりません。範囲の違う2枚は、そもそも並べられないためです。
比べる視点は相見積もりは失礼?リフォーム会社を賢く比べる視点に、現地調査の進み方は現地調査は無料?有料?見積もり前に知っておきたいことに書いています。地元の会社に頼む場合の違いは福岡の賃貸原状回復|地元業者に頼むと空室はどう縮むをご覧ください。
BEFORE / AFTER見積書を読む前と、現地を見たあと
下の写真は、実際にお引き受けしたワンルームの浴室です。工事前は浴槽と壁、鏡や水栓のまわりに変色が出ていました。工事後は同じ広さのまま、明るい白の状態になっています。写真にすると差が分かりますが、紙の見積書ではこの状態は伝わりません。
ご相談の段階で多いのは、届いた書類の金額が高いのか妥当なのか決められず、承認するかどうかで止まっている状態です。中身を聞きたいけれど、何から聞けばいいのかが分からない、という方もいらっしゃいます。
現地を見ると、どの部位がどういう状態なのかが行ごとに分かれます。今回やる場所と、次の退去まで様子を見る場所を分けられるようになります。糸島市・福岡市であれば、退去立会いのあとに日程を合わせてうかがいます。どこを確かめればいいのか知りたい、という段階のご連絡で構いません。
BEFORE毎回の退去で届く書類が一行だけで、過去の工事と照らし合わせられない。承認はしているが、妥当なのかは分からないまま。
AFTER部屋ごとに範囲と数量が残り、前回やった場所がたどれる。次の退去でも同じ材料で考えられる。※実際の施工写真です。
FAQよくあるご質問
原状回復を管理会社に任せたままでも問題ありませんか。
見積書に数量が書かれていない場合はどうなりますか。
クロスは入居者が替わるたびに張り替える必要がありますか。
通常損耗の費用は貸主と借主のどちらの負担ですか。
管理会社を通さずに、直接依頼することもできますか。
1戸だけでも現地調査をお願いできますか。
CONCLUSIONまとめ
原状回復の費用が妥当かどうかは、総額ではなく、見積書に数量・単価・工事範囲が書かれているかで確かめられます。管理会社にお願いすること自体は普通のことで、そこに書類の形が加われば、オーナー様の側でも中身をたどれるようになります。
気をつけていただきたいのは、一度の金額だけで決めないことです。同じ部屋の過去の書類と並べると、重なっている項目が見つかることがあります。工事に入って想定外のことが出た場合は、その場で進めずに一度止めてご相談します。追加になりそうな費用は、契約の前にお伝えします。
お手元の見積書をどう読めばいいか分からない段階でも構いません。現地調査とお見積もりは無料です。お電話は092-334-2211、お問い合わせフォームからもお受けしています。糸島市・福岡市を中心に、退去立会いのあと早く着手できるよう段取りします。
ほかのコラムはコラムの記事一覧からすべてご覧いただけます。
※費用は目安のレンジです。正確な金額は無料の現地調査でお出しします。糸島市・福岡市を中心に対応しています。

